vol.15 SPECIALIZED TURBO CREO SL COMP CARBON

発売から2カ月。スペシャライズドのe-BikeのTURBOシリーズは他社より圧倒的に高額であるにも関わらず圧倒的に売れている秘密を試乗車を使って調べて行こうと思います。

e-Bikeの性格を知るにはモーター出力、バッテリー容量、制御の3つの要素を見ていく必要があります。

このTURBOシリーズ、日本での発売は2020年4月からですが、海外ではもっともっと古くスペシャライズドでも2012年から存在していました。当時はBROSE社のユニットを使っておりましたが、現在はすべて自社製のモーターになっています。

気になるスペックは240W、35Nm、アシスト比は1.8倍です。

TURBOシリーズの特徴は何と言っても車体の軽さです。他社が完成重量18㎏~20㎏あたりで苦戦している中、試乗車のCREOは約13㎏。(下位モデルのアルミだと13.7㎏、上位モデルのS-WORKSは12.2㎏)

電動システム(モーター+バッテリー+ケーブル類)の総重量が3.5㎏と軽量なので上記の重量が実現できるわけです。パワーは少なめ。メーカーによって表記がさまざまで比べにくいのですが、GIANT社のe-Bikeが70Nmなのに対しトルクは半分。このあたりが気になりますね。ともあれモーター出力が小さくなると消費電力も小さくなるのでバッテリーも小型化できます。結果電動システムの総重量が軽くなるというところを狙っているわけです。

スペシャライズドのe-Bikeが昔から低出力だったわけではありません。BROSE社製モーターを使っていたころは最大500W以上の出力を誇っていました。500Wの出力がどのくらいかは昨今のパワーメーターの普及でなんとなくご理解いただけると思いますが、日本の実業団トップクラスの選手が短めの登りをぐいぐい登っている時のパワーに匹敵します。5分はもたないと思われます。自分のペダリングが150Wだったとすれば約700W近い出力がほぼ電池がきれるまで永遠に出力し続けることができるわけです。もはや原付クラスです。

ライダーも初めは高出力に興奮しますが、だんだんECOモードで十分ということが見えてきます。そこでスペシャライズドは最高出力を最適化したわけです。それが240W、35Nmです。

実際にいつものコースを走った感想を記しておきます。コースは30㎞。9㎞地点までは小さいアップダウンのある平地。12㎞地点に向かって緩めの登り。15㎞地点に向かって高速の下り。2㎞程きつめの登りがあり、下りと高速平地を組み合わせて気持ちよく帰ってくるコースです。(並滝コース)

9㎞地点までの平地は篠の交差点まで少し登りますが30㎞/h巡行です。このスピード域はノンアシストになりますが、軽快ではないにしろグラベルロードと同様の負荷で走れます。バイク重量やアシストシステムのことを忘れるほどノーマルです。

お楽しみの登り区間。いつもメンバーと会話しながら登りますが、まだECOモードで十分です。斜度7%くらいならビンディングを外して片足ペダリングでも10km/h巡行には問題ありません。TURBOモードで踏み込むと一気に25km/hを超えてノンアシストになりますのでここでもモードはECOで十分です。

試しておきたいことは下り性能。ここの下りは60㎞/h超えから斜度が緩くなって45㎞/h巡行に落ち着きます。この区間ではロードバイクの表情を見せます。少しだけe-BikeらしいBB周りのだるさはありますがスピード自体はやはりグラベルロードと同格です。とばさなければ気持ちよいです。その先の最高速区間はロードバイクだと70㎞/hオーバーにのりますが、ギヤ比的にそこまではなかなか難しいです。

このバイクの性格だとフロントシングル×ワイドレシオで、他社のe-Bikeに比べれば頻繁にシフトチェンジした方が気持ちよく走れますが、e-Bikeとしては最適化したギヤ比になっていると思います。

個人的にはもっとロードバイク寄りに振っていても面白いと思いますので、アシストパワーを半分にしてギヤ比もクロスレシオ。フロントもダブルであって欲しいと思うところです。

試乗車の価格は670,000円です。

TCUというコントローラー。電源ON/OFFと出力の切り替えができます
ケーブル類はヘッドのサイドからダウンチューブのバッテリーの上を通ります
油圧ダンパーが組み込まれたFUTURE SHOCK2.0が搭載されています。

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